君想う声とわたがし が連携して書く小説と、
各自の小説を載せていくブログ★
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偽善な救世主 Ⅴ
脳裏に移ったのは、
――殺到する人々
――悲しく微笑む少女
――くらい顔をしている少年。これは俺か?
――そして、愕然とした少女の顔
全てを思い出した。
でも、この違和感はなんだ?
何かが違う。
どこかが間違っている。
確かめなきゃ。
―――あの、墓に行かなきゃ。
「ここに何かが、絶対何かがあるんだ」
――クスクス
「なんだ?」
――クスクスクスクス
「笑い声?」
――アハハハハハ!!
「誰だ!」
「・・・僕ですよ」
「お前は!?」
「クス、びっくりしたでしょ?」
「大丈夫なのか?」
「あぁ、あれですか。普通の人間なら死んでたでしょうね。《普通》ならね」
「普通じゃないのか?」
「僕は人間じゃありませんし。それにあの子も」
そういって燈真は墓を指差す。
そこに、一人の少女がいた。
――殺到する人々
――悲しく微笑む少女
――くらい顔をしている少年。これは俺か?
――そして、愕然とした少女の顔
全てを思い出した。
でも、この違和感はなんだ?
何かが違う。
どこかが間違っている。
確かめなきゃ。
―――あの、墓に行かなきゃ。
「ここに何かが、絶対何かがあるんだ」
――クスクス
「なんだ?」
――クスクスクスクス
「笑い声?」
――アハハハハハ!!
「誰だ!」
「・・・僕ですよ」
「お前は!?」
「クス、びっくりしたでしょ?」
「大丈夫なのか?」
「あぁ、あれですか。普通の人間なら死んでたでしょうね。《普通》ならね」
「普通じゃないのか?」
「僕は人間じゃありませんし。それにあの子も」
そういって燈真は墓を指差す。
そこに、一人の少女がいた。
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偽善な救世主 Ⅳ
「・・・・そういうことか」
「うん。そういうこと」
「・・・ついてねぇ」
「?何かいった?」
「・・・別に」
朝登校したら同じクラスに燈真がいた。
あまりかかわりたくないと思っていたのに。
「あれ?そういえば彼女はどうしたんですか?」
「・・・別れた」
「あら、そうだったんですか」
(全部お前のせいなんだよ!)
あの後、彼女は、あんなおかしな人とかかわりを持ってる人とは付き合えない、といって家に帰ってしまったのだ。
「・・・最悪だ」
「今日からよろしくねぇ」
こいつの笑顔を本気で殴ろうと思った。
「また、来ちまったか」
学校帰り気がつけばまたあの墓地の前だった。
「来るべきじゃねぇと思ってんだけどな」
あたりはもう日が落ちてしまっているため、ほのかに薄暗い。
『また、来たか』
「っ!?・・・出やがったな。お前はなんだ!」
『貴様は本当に愚かだ。誰かを助けそれが偽善だとも知らず。きずいた時にはその現実から逃げる』
「なんのことだ!」
『思い出せ。貴様の過ちを。私が受けた苦しみを』
「・・・・・・あの」
驚きバッと振り返る。
「何を一人でやっているのでしょうか?」
そこにはむかつく燈真が居た。
「な、なんでもねぇ」
「お疲れですか?早く休んだほうが」
気がつくとあの声は聞こえてこなくなっていた。
その夜、
(くそっ!なんなんだよ、あれは)
先ほど聞いた声が理解できないのだ。
「思い出すったって、どうやって・・・」
おもむろにテレビをつける。
『只今速報が入りました。え~、先ほど、夏川街道の墓地付近にて、交通事故が起こりました。被害者は17歳、花岸燈真さん。現在も意識不明の重態のようです。警察は・・・』
「なっ!?」
頭が鈍器で殴られたような気がした。
「あいつが、撥ねられた?」
処理が追いつかない。
頭痛がしてきた。
そして、過去の記憶が甦った。
「うん。そういうこと」
「・・・ついてねぇ」
「?何かいった?」
「・・・別に」
朝登校したら同じクラスに燈真がいた。
あまりかかわりたくないと思っていたのに。
「あれ?そういえば彼女はどうしたんですか?」
「・・・別れた」
「あら、そうだったんですか」
(全部お前のせいなんだよ!)
あの後、彼女は、あんなおかしな人とかかわりを持ってる人とは付き合えない、といって家に帰ってしまったのだ。
「・・・最悪だ」
「今日からよろしくねぇ」
こいつの笑顔を本気で殴ろうと思った。
「また、来ちまったか」
学校帰り気がつけばまたあの墓地の前だった。
「来るべきじゃねぇと思ってんだけどな」
あたりはもう日が落ちてしまっているため、ほのかに薄暗い。
『また、来たか』
「っ!?・・・出やがったな。お前はなんだ!」
『貴様は本当に愚かだ。誰かを助けそれが偽善だとも知らず。きずいた時にはその現実から逃げる』
「なんのことだ!」
『思い出せ。貴様の過ちを。私が受けた苦しみを』
「・・・・・・あの」
驚きバッと振り返る。
「何を一人でやっているのでしょうか?」
そこにはむかつく燈真が居た。
「な、なんでもねぇ」
「お疲れですか?早く休んだほうが」
気がつくとあの声は聞こえてこなくなっていた。
その夜、
(くそっ!なんなんだよ、あれは)
先ほど聞いた声が理解できないのだ。
「思い出すったって、どうやって・・・」
おもむろにテレビをつける。
『只今速報が入りました。え~、先ほど、夏川街道の墓地付近にて、交通事故が起こりました。被害者は17歳、花岸燈真さん。現在も意識不明の重態のようです。警察は・・・』
「なっ!?」
頭が鈍器で殴られたような気がした。
「あいつが、撥ねられた?」
処理が追いつかない。
頭痛がしてきた。
そして、過去の記憶が甦った。
偽善な救世主 Ⅲ
目を覚ますと、そこは病室だった。
「・・・俺は」
頭の中がしっかりと整理されていない。
散歩に出て、墓地を見つけて、それから・・・。
「ッ!?」
考えていたところに頭痛が来た。
気を失うほどの痛みではないが、頭も中に無理やり何かをねじ込まれたような痛みだった。
霞む目の前の情景の変わりに、見覚えのない景色が広がった。
ぼろくさい中学校。せみの鳴き声。少女の姿。そして・・・墓地。
そこで意識が戻った。
「これは、昔の記憶?」
なぜかはわからないが核心が持てた。
「あの子は・・・」
少女の姿を思い出す。
それと同時になにか違和感を覚えた。
「木島さん、大丈夫ですか?」
ナースが入ってくる。
「気がつかれたんですね。通りかかった学生さんが見つけて知らせてくれたんですよ」
(・・・・・・学生?)
その言葉を不信に思いながら、一応お礼だけはのべておく。
「そうですか。ありがとうございました」
「たぶん過労だと思いますよ。きょうは家でゆっくりしてくださいね」
病院を後にした栄一は考えていた。
あの墓地に何かがあるのだろうか、と。
気がつくと墓地の前にいた。
そこにはあの怪しげな男――――花岸燈真がいた。
「お前、助けてくれたんだってな」
「助けたのはお医者さん。僕じゃないよ」
そういって笑っている。
「お前なんでこんなとこに居るんだ?」
「ただの散歩だよ。・・・君は?」
「俺も散歩だ」
ぶっきらぼうにそう答える。
「そうなんだ。あ、もうこんな時間だ。じゃぁ、また明日ね」
「え?あ、あぁ」
(結局何もなかったな)
家に帰宅した栄一はそう思いながら夕飯をたべていた。
「あいつ、また明日って言ってたよな」
その疑問は翌日、登校と同時に晴れた。
「・・・俺は」
頭の中がしっかりと整理されていない。
散歩に出て、墓地を見つけて、それから・・・。
「ッ!?」
考えていたところに頭痛が来た。
気を失うほどの痛みではないが、頭も中に無理やり何かをねじ込まれたような痛みだった。
霞む目の前の情景の変わりに、見覚えのない景色が広がった。
ぼろくさい中学校。せみの鳴き声。少女の姿。そして・・・墓地。
そこで意識が戻った。
「これは、昔の記憶?」
なぜかはわからないが核心が持てた。
「あの子は・・・」
少女の姿を思い出す。
それと同時になにか違和感を覚えた。
「木島さん、大丈夫ですか?」
ナースが入ってくる。
「気がつかれたんですね。通りかかった学生さんが見つけて知らせてくれたんですよ」
(・・・・・・学生?)
その言葉を不信に思いながら、一応お礼だけはのべておく。
「そうですか。ありがとうございました」
「たぶん過労だと思いますよ。きょうは家でゆっくりしてくださいね」
病院を後にした栄一は考えていた。
あの墓地に何かがあるのだろうか、と。
気がつくと墓地の前にいた。
そこにはあの怪しげな男――――花岸燈真がいた。
「お前、助けてくれたんだってな」
「助けたのはお医者さん。僕じゃないよ」
そういって笑っている。
「お前なんでこんなとこに居るんだ?」
「ただの散歩だよ。・・・君は?」
「俺も散歩だ」
ぶっきらぼうにそう答える。
「そうなんだ。あ、もうこんな時間だ。じゃぁ、また明日ね」
「え?あ、あぁ」
(結局何もなかったな)
家に帰宅した栄一はそう思いながら夕飯をたべていた。
「あいつ、また明日って言ってたよな」
その疑問は翌日、登校と同時に晴れた。
偽善な救世主 Ⅱ
二人の会話を聞いていたその男は、なんとかして二人に近づこうと考えていた。
べつに、ふたりの中をわるくしたいとかそういうことではない。
ただ、男のほうに見覚えがあったからだ。
男はあれやこれやと考えた末、全てを放棄して単刀直入に話しかけた。
「君、栄一君だよね?」
相手は驚いている。
「え、そ、そうだけど。えっと、誰?」
「やっぱりそうか。覚えてないのか?僕は花岸燈真だよ」
「・・・・・・知らん」
半眼で見下ろされてしまった。隣の彼女らしき女性もいぶかしげな顔つきになっている。
「ちょ、待って!ほんとにわからない?ほら、中学でおんなじクラスメイトになった」
中学ときいたとたん相手は苦い顔をした。
(思い出したかな?)
「ごめん。俺、中3から前の記憶がないんだ」
「なっ!?・・・そうだったんだ。なんか、ごめんね」
「ぃゃ、いいって。こっちこそ覚えてなくてごめんな」
そういって彼らは歩いていってしまった。
「・・・覚えてないんだ。あのことも」
燈真は小声で、そう呟いた。
次の日
っといっても日曜日なので特にやることがない栄一は、散歩をしていた。
散歩は毎回違うルートを通っている。
町を覚えるためだ。
ある程度歩くと、突き当たりの辺りに墓地が見えた。
(ここはあまり通らないほうがよさそうだな)
そう思いながら墓地の隣を通ると、
「痛っ!!」
急な頭痛に襲われた。
『・・・偽善者め』
「っ!?誰だ!!」
『おろかな偽善者め。逃げようとも無駄だ』
頭の芯に響く声はだんだんと大きくなっていく。
女の声のような気がした。
「・・・く・・・そ・・・」
意識が、とんだ。
べつに、ふたりの中をわるくしたいとかそういうことではない。
ただ、男のほうに見覚えがあったからだ。
男はあれやこれやと考えた末、全てを放棄して単刀直入に話しかけた。
「君、栄一君だよね?」
相手は驚いている。
「え、そ、そうだけど。えっと、誰?」
「やっぱりそうか。覚えてないのか?僕は花岸燈真だよ」
「・・・・・・知らん」
半眼で見下ろされてしまった。隣の彼女らしき女性もいぶかしげな顔つきになっている。
「ちょ、待って!ほんとにわからない?ほら、中学でおんなじクラスメイトになった」
中学ときいたとたん相手は苦い顔をした。
(思い出したかな?)
「ごめん。俺、中3から前の記憶がないんだ」
「なっ!?・・・そうだったんだ。なんか、ごめんね」
「ぃゃ、いいって。こっちこそ覚えてなくてごめんな」
そういって彼らは歩いていってしまった。
「・・・覚えてないんだ。あのことも」
燈真は小声で、そう呟いた。
次の日
っといっても日曜日なので特にやることがない栄一は、散歩をしていた。
散歩は毎回違うルートを通っている。
町を覚えるためだ。
ある程度歩くと、突き当たりの辺りに墓地が見えた。
(ここはあまり通らないほうがよさそうだな)
そう思いながら墓地の隣を通ると、
「痛っ!!」
急な頭痛に襲われた。
『・・・偽善者め』
「っ!?誰だ!!」
『おろかな偽善者め。逃げようとも無駄だ』
頭の芯に響く声はだんだんと大きくなっていく。
女の声のような気がした。
「・・・く・・・そ・・・」
意識が、とんだ。
偽善な救世主 Ⅰ
そこは墓場だった。
周りには見渡す限りの墓標。
そこに一人、ぽつんと立ち尽くしている男が居た。
死者を敬うでもなく、はたまた墓を荒らそうとしているでもなく。
ただ、泣いていた。
目の前の墓標には線香と花束が添えられていて、独特な空気が周りを取り囲んでいる。
その墓標にはこう刻まれていた。
―――華蓮家 華蓮泉 ここに眠る
雨降りとは嫌なものだ。
気分を憂鬱にさせる。
部屋の中は湿気でじめじめするし、外で散歩をすることもかなわない。
「・・・暇だな」
一人でそう愚痴る。
木島栄一はこの上なく暇だった。
転校生で新学期が始まったばかりだということもあり、友達はまだできていないので、雨が降る日は家で静かにしているしかない。
「面白いことねぇかなぁ」
と、
Calling♪ Calling♪
独特の着信音と共に携帯が震えた。
「もしもし、栄一だけど」
『お、栄ちゃん久しぶり!・・・でないかと思った』
「あのなぁ、俺はそんなにと人をけぎらってねぇよ」
『冗談、冗談。でさ、今暇?』
「暇で死にそう」
『そか、じゃぁ、ちょっと付き合って』
(おもしろそうだな)
栄一は心の中でそう思い、意気揚々と雨の中をかけて行った。
栄一にはまだ友達はいない。
これは本当のことだ。
だが、彼女は居たりする。
「お待たせ。待った?」
「う~、まったよ~。まぁ、いきなり呼び出しちゃったから許すけど」
「ごめんな。で、話って?」
「あぁ、それなんだけど。栄ちゃん、転向してきたばっかジャン?だからさぁ、案内したげようと思って」
「なんだ、そんなことか」
もう少し面白いことだと思っていたのですこしがっかりする。
「なんだとはなによ!!せっかくあたしが言ってあげてるのに」
「わりぃ。よろしく頼むよ」
いつもと 変わらない言葉の掛け合い。
ひとつだけ違っていたのは、二人の会話にずっと聞き耳を立てている男が居たことだけだ。
周りには見渡す限りの墓標。
そこに一人、ぽつんと立ち尽くしている男が居た。
死者を敬うでもなく、はたまた墓を荒らそうとしているでもなく。
ただ、泣いていた。
目の前の墓標には線香と花束が添えられていて、独特な空気が周りを取り囲んでいる。
その墓標にはこう刻まれていた。
―――華蓮家 華蓮泉 ここに眠る
雨降りとは嫌なものだ。
気分を憂鬱にさせる。
部屋の中は湿気でじめじめするし、外で散歩をすることもかなわない。
「・・・暇だな」
一人でそう愚痴る。
木島栄一はこの上なく暇だった。
転校生で新学期が始まったばかりだということもあり、友達はまだできていないので、雨が降る日は家で静かにしているしかない。
「面白いことねぇかなぁ」
と、
Calling♪ Calling♪
独特の着信音と共に携帯が震えた。
「もしもし、栄一だけど」
『お、栄ちゃん久しぶり!・・・でないかと思った』
「あのなぁ、俺はそんなにと人をけぎらってねぇよ」
『冗談、冗談。でさ、今暇?』
「暇で死にそう」
『そか、じゃぁ、ちょっと付き合って』
(おもしろそうだな)
栄一は心の中でそう思い、意気揚々と雨の中をかけて行った。
栄一にはまだ友達はいない。
これは本当のことだ。
だが、彼女は居たりする。
「お待たせ。待った?」
「う~、まったよ~。まぁ、いきなり呼び出しちゃったから許すけど」
「ごめんな。で、話って?」
「あぁ、それなんだけど。栄ちゃん、転向してきたばっかジャン?だからさぁ、案内したげようと思って」
「なんだ、そんなことか」
もう少し面白いことだと思っていたのですこしがっかりする。
「なんだとはなによ!!せっかくあたしが言ってあげてるのに」
「わりぃ。よろしく頼むよ」
いつもと 変わらない言葉の掛け合い。
ひとつだけ違っていたのは、二人の会話にずっと聞き耳を立てている男が居たことだけだ。