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君想う声とわたがし が連携して書く小説と、 各自の小説を載せていくブログ★
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偽善な救世主 Ⅵ
少女はすでに人間として確立されてはいなかった。
服は着ず、体のあちこちは傷だらけで何より、片方の目はそこに初めからなかったようにぽっかりと穴が開いていた。
「ぅ、ぅわぁあああ!!」
「クスクス、、何を怖がっているのです?偽善者さん?」
そこで、違和感の理由に気がついた。
どの記憶を浚ってもこいつが居ないのだ。
「お前は、クラスメイトじゃ・・・」
「もしかして信じてたんですか?アハハ、あなたは本当に愉快ですね」
『偽善者、あたしを殺した。許さない』
頭に響く声が聞こえてくる。
「あ、あれはしょうがなかったんだ!!ほかに、どうすることもできなかった!」
「それはあなたのいいわけでしょう?あの時、彼女を助けられたのはあなた一人だけだった」
「それは・・・」
「ならもう一度再現して見せましょうか?あなたが救世主ぶって、この一人の少女を見殺しにしたところを」
「!?やめろ!!」
「クスクス、惨めですね。あの頃はさも自分が正しいと言っていたというのに」
「もうやめてくれ!許してくれ」
「ぁら、それはできませんよ。私たち死神は、死者の恨みを晴らさなければいけないのですから」
「どうすれば、いいんだ?」
「それは本人に聞いてみてください」
燈真、いや、冷酷な死神は死を宣告するような冷たい言葉でそう告げた。
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無題
「あぁ、あの町ですか。意外と近かったんですね」
「・・・そうだよ」
無愛想にそう答える。
影の話を聞かせてもらったことには感謝している。
でも、なにか納得がいかない。
その力が僕にもあったらすぐにでもあいつらを助けにいってやれるのに。
「ここまでくればもう大丈夫ですね。では、私はこれで」
“アリガトウ”と言えない自分が情けなく思えた。

その一日は文献で必死に影のことを調べた。
何故あるのか、とか、喰われたらどうなるのか、とか、あの力を手に入れるにはどうしたらいいのか、とか。
何時間かそうやって探しているうちに、ひとつの見出しが目に入った。

~~~影の壊し方~~~

「当たり、かな?」
詳細に目を通す。
『影とは光と対象の存在。光がなければ影はできず、影ができないのならば光は存在する価値もない。それは互いに共生しているとも言えよう。また、この原理を理解すれば、影から光を作り出すこともできなくはない。ただ、ひとつの儀式を行いさえすれば・・・・・・』
このとき、少年の頭の中には、これであいつらを救える。という思い以外は何もなかった。
「これだ!・・・早速準備をしなくちゃ!」
少年はへやから飛び出していった。

『追記。
この儀式をやり身を滅ぼした者も少なくないという。もし行うのならば、死んでもいいという覚悟と、普通の人間ではいられなくらるという恐怖に打ち勝つ勇気を持って行うことをお勧めする』

彼がこの本を開くことは二度となかった。
無題
「…ふ、ふざけ」
少年は、この状況で冷静になっていられる男に腹が立って、
襲いかかろうとした。
しかし、殴りかかった方の腕を取られてしまった。
そして、あっけなく少年は倒された。
その反動で、男のマントの帽子が取れた。
「…女?!」
銀色の長い髪に、青い瞳の大人しそうな顔立ちをした、
女の姿が現れた。
「私の護るべき人々も、全てレクノスに奪い去られました。
先ほど見せた技は、影…つまり闇を消すこと。
レクノスに通じる闇は、もっと恐ろしいもので、先ほど以上の力が必要になる。
しかし、無闇に影を消すのも良くない。
光があるからこそ、闇があるという事を、忘れてはなりません。」
女は、構わずレクノスの話を続けた。
「どうやっても、助からない…?
この街の人も、…この世界はもう滅びるって事なの?」
少年は、腰を抜かしたまま女に質問した。
「先ほど言った通りです。
世界は間もなく滅びるかもしれない。
しかし、私のように光を操れる者が他にもいるのだとすれば、まだ可能性はあります。
…ところで、あなたはこの街の人ですか?」
女はレクノスの話を急にやめた。
そして、手を差し伸べ、笑顔でそう質問した。
無題
「光を生み出す仕事をしています」
最初僕はその言葉の意味がわからなかった。
影から光を?
そんなのは無理だと思った。
漆黒のやみを希望ある光へ。
まったく対称の物へ。
「やってみてよ」
少々やけになりながらそう言った。
そいつはなにもしゃべらず、建物の影をそっと撫でた。
一瞬影が震えたかと思うと、すっと消えてなくなってしまった。
何処へ、と視線を彷徨わせる。
そこにポゥと淡い光が見えた。
「どうです?これが私の役割。理解していただけましたか?」
僕は言葉を発することができない。
「影は人々を喰らう。だから私は危険を排除しているのです」
そこで思考が回り始めた。
どうやらこの人は影について知っているようだ。
招待はわからなくて信用はできないが、聞いてみるしかないだろう。
「あの、僕の仲間は何処へ?」
「おゃ?あなたの連れも影に喰われてしまったのですか。それは残念です。影の行く手は第三世界。レクノスと呼ばれる世界です。そこには影に喰われ、全てを忘れさせられていくことしかありません。諦めるのですね」
そいつは冷淡にそう言った。
無題
誰かが悲しんでいる場面が思い浮かぶ。
闇に飲み込まれそうな、少年の姿。
「はぁはぁ」と息をあげながら、闇から伸びてくる手に掴まれないよう、
たった1人、必死に逃げていた。
しかし、闇の手に足を掴まれ、あっという間に闇の一部となってしまった。

そんな世界の始まりは、光。

低い建物や、少し背の高い建物が並ぶ、レンガを貴重とした街がある。
一見、賑やかそうな街だが、もう人は住んでいないようだ。
誰かの靴の音が、街全体に響いているような気がした。
そこには確かに人が存在していた。
帽子のついたマントをはおっていて、顔が見えない。
マントをはおった人は、街の異変をすぐに把握した。
「…皆、影に飲み込まれ…」
家の壁のレンガを触りながら、そう一言こぼした。
 「誰だ…!!」
聞き覚えのない声が、どこか分からないところで聞こえる。
「影から光を生み出す仕事をしています。」とマントをはおった人は冷静に答えた。
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